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都知事よ!そこまで言うなら、公開コンペを開け!! [社会批評・評論]

 磐石と思っていた石原都知事が、このところちょっとおかしくなってきたらしい。福岡県が目茶苦茶なオリンピック誘致をぶち上げたところに、割って入ってアイディアをパクったまでは良かったが、大名旅行もどきの“海外出張”に溺愛四男への重用と、従来の都政とは趣の違うゴタゴタが暴露されて、開き直るだけの対応になってしまっている。都議会の共産党が挑発して始まったこんどのケンカは、日本の地方自治と芸術の発展のためには、実に価値があると思う。“権力の暴露”こそ、共産党の伝統的な議会手法だが、こんどばかりは都知事への同情が減っているようだ。“大名旅行”のほうは、全国の知事や議員もやっているから、「石原も同じムジナか」程度の反応で、逃げ切れる可能性があったが、行政を利用した四男への溺愛となるとそうもいくまい。しかも、事は“ゲイジュツ”
が絡んでいるのだ。そもそも、都政と“ゲイジュツ”の関係には、消すことのできない、いまも形が残る“過去”がある。
 いまの都庁庁舎を初めて見に行った日、若手の実力建築家から“ヤクザ”“金張り建築家”と揶揄されていた建築家が建てたと言われる新庁舎を眺め、パリの観光名所であるノートルダム寺院のパクリに唖然とし、入る気にならず、代々木方面に向かったら、途中でエンパイアステートビルのてっぺんが目に入り、さらに、民間の新築ビルのファサードがガラス張りの新ルーブル美術館のパクリで、思わず道路にへたり込みそうになったという懐かしい思い出が、私にはある。一応、新庁舎のコンペはやったと言うが、出来レースというのが業界の大方の感想だったらしい。それにしても、日本の代表的な建築物デザインには世界レベルをはるかに下回るパクリもどきが多過ぎる。東京タワーだって都市景観と共に評価されるエッフェル塔に、はるかに及ばないのである。もっとも、あんなパクリを芸術的に評価しようという海外の評論家もいないだろうけど。原因は、ハッキリしている。公共性のある芸術的な何かを、プロの芸術家や大衆に評価しもらおうという発想がないからだ。
 考えてみれば、芸術的なものばかりか、基本的に行政そのものに大衆を参加させようという発想がないのである。明治以来、日本の行政には“官”が指導者で“民”は素人という発想が抜けないから、内閣府主催のタウンミーティングでも仕掛ける以上、仕組むのが当たり前という“空気のような発想”で素人である国民を操ろうとしたに過ぎないのである。この発想の延長で、芸術家の登用も、まるで土建業者への発注の感覚で繰り返されているのだ。パリ市などヨーロッパの主要都市では条例で、公共施設の建築費の何パーセントを新しい芸術の発展のために使わなくてはならないということが決められていて、若い彫刻家や画家、デザイナーらの励みになっているが、その芸術家をケースバイケースで選任するのは行政ではなく、名を遂げた芸術家や誰もがその芸術眼を評価する文化人の中から選ばれた選考委員会なのだ。一連の騒ぎで明らかになっているのは、石原都知事はヨーロッパの都市でのバックボーンを十分知りながら、“芸術”に対する金の支出だけを自己の判断で推進したのだ。この事実に対する、石原都知事の罪は重いと私は思う。
 石原都知事の、この心情は結局、田舎者に芸術などわかってたまるかという“東京生まれ”によって培われたものだと、私は推察するのである。なぜ、私がそう推察するのかというと、私も“東京生まれ”で子供のころから絵画館やデパート、美術館巡りを父や友人として、自分でも大学卒業まで美術サークルにいたからだ。いまにして思えば、完全な教育文化の“地方格差”だが、私がいた大学は地方出身者が圧倒的に多いので有名だったから、当然のように美術サークルなどに入ってくる学生は、ほとんど東京出身でわずかな地方出身者も親が教師だった。だからハッキリ言って、いまでも“所詮、ゲイジュツがわからない田舎者のくせに”という心情が、ふつふつと沸いてくることがある。数年前にも上野の新しい美術館にピカソ展を見に行った時など、余りの人込みと作品の貧弱さに腹を立てて「なんだ、これは。みんな“売り絵”じゃねーか。こんなのに高い金取りやがって」と大声で連れに毒づいたものである。
 つまり、4号とか6号、8号(注・1号は葉書1枚のスペース)の作品というのは、いくらピカソだろうが、マチスだろうが、研究家に評価されたものでない限り、いくら真剣に見ても、自分の書斎にでも飾ってじっくりと見ない限り、ゲイジュツ性は伝わってこないのだと思う。要するに、“売り絵”というのは、そういうものなのだ。おそらく、あんな“売り絵”ばかり集めて“興行”し、採算をとっている先進国は日本だけだろう。要するに、金持ちに「ピカソを買いませんか」と売り歩く日本の画商が、サービスとして「時々、展覧会に出品すれば配当がありますよ」と囁いた結果なのだと思う。これだから、日本の金持ちはいつまでも、世界的なゲイジュツのスポンサーにはなれないのである。そして、こういう“売り絵”の展覧会に都営の美術館を提供し、主催者や共催者になっているのが都知事である。石原都知事は作家でもあるから、いかにもゲイジュツを語って、訳知りのようだが、こんどの一件も含めて、いささか疑問に思う。それは、彼が語るゲイジュツには、大衆という観点が欠落しているからである。これは、彼の弟である裕次郎の場合を見ると、歴然とした差なのではないだろうか。
 裕次郎との差は、その生き方を見れば明白だ。なかにし礼という、かつて次々とヒット曲を作詩した音楽家がいる。なかにしはシャンソンの訳詩で音楽界にデビューしたが、「知りたくないの」のヒットでレコード会社が注目、クラシック系のなかにしは“流行歌”に違和感があったが、その彼に“流行歌”作りを勧めたのは裕次郎だった。なかにしは、その後、「今日でお別れ」でヒットを飛ばし、「時には娼婦のように」「北酒場」など、時期的にはトップテンの半分以上を作った時期もあるほど、“流行歌”に染まった。裕次郎自身、映画とのセットで企画される主題歌の仕事には抵抗があったらしいが、現在でもカラオケの歌手別ランクではダントツのトップを走っている。丁寧な歌い方、感情移入の見事さで、演歌歌手以上の仕事を残したことが証明されている。なぜ、裕次郎はこれだけの実績を残したのかといえば、映画、テレビでもそうだが、大衆と共に生きることができたからなのだ。
 音楽と言えば、小泉前首相もオペラにこだわり、辞める前になってロカビリーが好きだったことがわかった。石原都知事も何かといえば、オペラ、フレンチの類のようだが、遊廓や男芸者を知らずに歌舞伎に“感動”する“田舎者”のおばさんと同じでなければいいと思う。なぜなら、「オペラ座の怪人」を例に引けば、勧善懲悪と弱者の論理のミックスこそ、歌舞伎と同じように人気オペラの醍醐味だからだ。そして、きっかけさえ与えられれば、こういうふうに誰にでも理解できるのが芸術というものだろう。ところが、「君らには、発想が貧弱だからわからんだろうが、ウチの四男はすばらしい芸術家なんだ。金だって実費しか払っていない。実力があって、そんなことをする芸術家がほかにいるか。おれは身内だろうが、必要なら誰でも使う」と、あたかも正当であるかのように論理立てた自己弁護には、いろんな矛盾がびっちりと詰まっている。
 つまり、親でもある都知事にしかわからない素晴らしい芸術が四男の作品であり、外国へ行っても実費しか払わないから普通の人はやらない仕事なのだという議論を、石原都知事は都民に向かって吹っ掛けているのだが、冗談ではないのだ。まず、そんなに素晴らしい作品なら、世間から隠したようにビジネス街のひっそりとしたビルに飾らずに、都庁ビルの玄関でまずはデビューさせるべきではあるまいか。そして、四男への発注が、あたかも実費だけの支給で恵まれていないかのように言い繕っているが、そんなに“いい条件”で海外の仕事ができるのなら、世間にゴマンといる若手の画家やデザイナーなら誰でも飛びつくに違いないのである。しかも、都の施設で作品が飾られ、広報誌で宣伝もしてくれるとなれば、本当に親に金を使わせてもやりたいと考える若者は多いだろう。
 ところが、本当の議論から逃げたまま、都知事は共産党とのケンカを選挙に持ち込む作戦らしいのだ。だが、私はふざけるんじゃないと言いたいのである。もう一度、声を大にして言う。そんなに四男の絵が素晴らしいのなら、堂々と都庁に陳列して欲しいのだ。具体的には、都が“公式に”採用する若手芸術家の公開コンペを、四男VS希望する若者芸術家で、是非、実現してほしい。そして、都庁を訪れる都民と都議会が承認する著名芸術家の投票で真の勝者を決めるのである。これが実現すれば、都知事も選挙で金を使わずにすむではないか。四男が圧勝すれば知事も圧勝だし、もし負ければ選挙戦術を謙虚なものに変更することができるだろう。


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 勝俣一生  永井  塚林弘樹  奥田 

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by  勝俣一生  永井  塚林弘樹  奥田  (2020-06-18 22:00) 

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